metalworkチニアシツケル

金属工芸作家 東亨/新規作家のご紹介

「てっかり」

東亨/Ryo Azuma

1988年   三重県生まれ
2011年   大阪芸術大学 金属工芸コース修了
2011~14年  同大学にて助手
2015年~  社会福祉法人に勤務
2018年   現在、大阪府堺市在住 近隣で製作

特定の工房を持たず、公園やガレージ、河原などで廃材を用い製作を行う。


-とどいたモノ-

今回彼がチニアシツケルに送ってきた物
東さんらしい、製作とともに”そう成ったカタチ”であり
それがチニアシツケルに来ることに”成ったモノ”でもあります。
彼の作品の中でも濃い部分。
一部、僕も咀嚼できていない物も有ります。

それは彼から届いた宿題のようにも思えますし、
好みの問題だろうと楽観的な自分もいます。
同世代と言うこともあるので、
これから徐々にチニアシツケルの一部として、
ともに育っていく姿を楽しみたいと思います。

 

-東さんの作品について-

 

感覚で生きてきた僕なので、
東さんの作品を背広を着たような格好良い言葉で説明しようとすると、
とてもじゃないけど伝わらないか、まわりくどく難解すぎると思うので、
”なぜ惹かれたのか”を出会いからお話しして、紹介したいと思います

昨年の春だったと思います
初めて彼と出会った時
小雨降る森の中で金属の廃材を叩き
何かを作ろうとしている最中でした

「若いさわやかな人がヘンテコな面白いことしているなぁ」

目に入ってくる情報と、頭で考える情報で色んな組み合わせをしてみても
僕の内側に”それの答え”は存在せず

でも何故か、彼自身と彼の生み出すものに心惹かれてしまったのです

“この人といつか何かできればなぁ”と明瞭な答えは出ないまま名刺を貰ったのがはじまり

つい数ヶ月前までとくに何もなく
僕がふと来年の展示を考えた時になぜか彼のことを思い出し、今日の紹介に至りました

色んなタイミングが満ちてきた感じでしょうか。今なら何かできるかも?と思ったんです。

東さんも僕ら夫婦のことを覚えていてくれました。
色々話をしていくうちに、彼に惹かれた理由が一つ一つ腑に落ちていきました。

知的障害者をアーティストと位置づけ創作活動の支援をする社会福祉法人で働く東さん。
彼のものづくりは、その社会福祉のインスピレーションから来ています。

僕ら夫婦は自然環境からのインスピレーション
東さんは人間社会からのインスピレーション
”人/ヒト”もまた自然環境の一部と捉えれば、
根っこでつながっている部分は一緒だったのかもしれません。

ただ、ここで勘違いしてはいけないのが、彼の作品は人の生活を手助けし寄り添う為のものでは無い。
作為性がなく、モノや素材側に導かれ「そう成った」というモノづくり。

作ろうとすること自体は能動的で、作り始めると受動的。

ね、言葉にしたり頭で考えると難しいでしょう。

因みに彼は作品を預けるとともにこう言いました

『煮るなり焼くなり、お願いいたします。
私は畑から収穫してきたので、調理はお任せします!
楽しみです!
期待しております!』(原文まま)

信頼してそう言ってくれました。

頭で考えると、畑で採れた野菜は”野菜”でしかありません。
ただ、野菜が野菜であるという常識や概念を無くせば、
野菜もまた”美しい植物”として姿形が見えてきます。
この間も野菜側はちっとも変わっておらず、
こちらの認識が”観賞に値する植物”に変わってしまうのです。

東さんの作品は今の世の中にある常識や概念には当てはまらないと思います。

なので、”頭で見ず”
目と手と耳で見てください。
そして私は口で東さんのことをお伝えします。

五感でそこにあるものの力を感じて下さい。

「名もなき物が人の心を動かす」
私はそんな物の持つ力を信じています
生活に決して必要では無いもの
それでもその人の人生で無くてはならない
かけがえの無いもの
そんな物との出会いの
きっかけになりたいと私は願っています

このチニアシツケルの信念ど真ん中の存在です。

私にとっても新しい価値観を作る挑戦です。/チニアシツケル店主 菊地